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​​学術文章の形式

​​体裁と文体について

 レポートにおいては、自分の考えを正確かつ説得的に伝えなければなりません。「たかが形式」と思うかもしれませんが、文章の形式を整えることは、読み手が得る情報の正確性と説得力に大きく関わります。

 

 このセクションでは、大きく2点をおさえていきます。
  (1)体裁を整えよう。
  (2)文体(スタイル)は、フォーマルな書き言葉を選択しよう。

(1)体裁を整えよう


体裁を整えるのは、基本中の基本です。具体的には次の点に気をつけます。
  ① 誤字脱字をしない。
  ② 段落の先頭は一字下げる。
  ③(執筆要項やフォーマットがある場合)指示された書式を遵守。


① 誤字脱字をしない。
 誤字脱字があると、誤解が生じて肝心の中身が伝わらない可能性があります。また、誤字脱字によって文章に違和感があると、スムーズに読めません。

 さきほどAの文章を読んだ時にモヤモヤしませんでしたか?Aの文章には、次の誤字脱字がありました。
「好例化」(○高齢化)/「データ調べて」(助詞「を」の脱字)/「申告な」(○深刻な)/「上げため」(脱字。上げるため)。
誤字脱字は、読み手にとって不快なノイズであり負担です。中身をより良い形で伝えたいならば、読み手への配慮として、体裁を整えましょう。

② 段落の先頭は一字下げる。
 段落(パラグラフ)の先頭を一字下げるのも、読み手への配慮に繋がります。段落(パラグラフ)の境界を、視覚的に明示することで「ここから内容が変わりますよ」ということが読み手にはっきりと伝わります。これによって読み手は、書き手の意図や内容を、より正確に読み取ることができます。

③ 書式を遵守する(執筆要項やフォーマットが指定されている場合)。
 提出先によっては、執筆要項や指定のフォーマット等で書式が指示されることもあります。指示が出された場合は、必ずその内容をチェックし、守るようにしましょう(参考:本書○章「執筆要項」)。

 

(2)文体は書き言葉

 学術文章の文体(スタイル)としては、最もフォーマルな書き言葉を選択します。
 日本語のスタイルには大きく二つ、「話しことば」と「書きことば」があります。現代日本語における二者の差は比較的大きく、たとえば次のような違いがあります。
  話し言葉:調べたら、日本の少子高齢化問題めっちゃヤバかった。
  書き言葉:調査した結果、日本の少子高齢化問題は、非常に深刻であった。
 一般に、カジュアルな場面では話し言葉、フォーマルな場面では書き言葉が用いられます。カジュアルさ/フォーマルさの度合いに応じて言葉を使い分けるというのは、高校までにも身につけてきたところだと思います。たとえば、<程度が大きい>ことを表す次の語彙は、左ほどカジュアルな話し言葉、右ほどフォーマルな書き言葉です。

​ (例)

  とっても<<とても<<非常に 

 

 アカデミックな世界で用いられる学術文章では、書きことば(最もフォーマルなもの)を選択します。上の図でいうと、「非常に」を選びます。
ここで先のAさんの文章を見ると、カジュアルな「とっても」を使ってしまっています。他にも話し言葉を多用しており(やばい、~から、もっと、~な)学術場面に適さない文章になってしまっています。
場面に応じて言葉を使い分けるスキルは、大学生活や社会生活のマナーとしても必要になります。以下に、一部ではありますが、学術文章でよく使う表現を抜粋し、話し言葉と書き言葉の対応表を示しておきます。

 

©2022 by 坂井研究室@鹿児島大学。Wix.com で作成されました。

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